過活動膀胱 / OverActive Bladder (OAB)

”過活動膀胱”ってなに
尿意切迫感(急に起こる、我慢できないような強い尿意)を必須症状とし、通常は夜間頻尿と頻尿を伴う症候群。

「過活動膀胱診療アルゴリズム 2022」(過活動膀胱診療ガイドライン[第3版])

診断のポイント
生命予後に重要な疾患を除外診断することが重要となる。特に悪性腫瘍(膀胱がん、前立腺がん、骨盤内腫瘍など)、尿路結石、下部尿路の炎症性疾患(細菌性膀胱炎、前立腺・尿道炎、間質性膀胱炎)、子宮内膜症などの膀胱周囲の異常など。内服中の薬剤にも注意。

1⃣と2⃣ 必須項目 
尿意切迫感は必須の症状。また,基本評価①として「過活動膀胱症状質問票(OABSS)」での評価が必須。 必須ではないが、症状に合わせて基本評価②として肉眼的血尿・骨盤部の手術/放射線治療の既往・膀胱痛の有無、尿細菌検査、Cre、PSA(男性)、超音波での異常(膀胱内の結石・腫瘍など)、MRIなど。

4⃣~7⃣
4⃣および5⃣は尿検査で、7⃣は超音波検査で評価します。5⃣の膿尿があった場合は6⃣の抗菌薬治療(βラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン薬やセフェム系を(閉経前の女性はキノロン系薬も考慮))を開始する。 ここで、男性では前立腺肥大症(BPH)の有無の評価(下記)、 女性では骨盤臓器脱(POP)の有無の評価(女性下部尿路症状診療ガイドライン第2 版参照)を行います。

8⃣一次療法と9⃣二次療法
一次療法として「行動療法」を、二次療法として「薬物療法」を行う。
「行動療法」として、生活指導、膀胱訓練・計画療法、骨盤底筋訓練などの理学療法などがある。リスクがほとんどないため全ての方に対して実施すべき治療。
「薬物療法」として、
●女性とBPH(前立腺肥大症)のない男性 → ①抗コリン薬単独(種類を変更)②β3受容体作動薬単独③抗コリン薬とβ3受容体作動薬の併用。
●BPHのある男性 → ①α1遮断薬単独orPDE5阻害薬(タダラフィル;冠動脈疾患注意)単独②5α還元酵素阻害薬単独(体積30ml以上のBPHを有するOABの方に早期の効果を期待する場合α1遮断薬との併用を考慮する)③α1遮断薬と抗コリン薬の併用④α1遮断薬とβ3受容体作動薬の併用。

専門医への紹介
治療困難例や三次治療法(ボツリヌス毒素治療や神経変調療法)、BPHやPOPへの外科的治療などが必要と考えられる場合は専門医への紹介を行っていきます。 まずは気になる症状があればご相談ください。

最近ではフレイル(frailtyに由来。加齢により心身が負い衰えた状態)と認知機能低下との関係が着目されるようになってきた。 フレイル高齢者は、せん妄・褥瘡・感染症などの合併率が高くなる。再入院リスクも高いため、入院を繰り返すうちに要介護状態に至ることが多い。 また,加齢に伴い認知症の有症状率は上昇。2025年には約5人に1人は認知症と言われる時代になると考えられている。 実際、過活動膀胱(OAB)の過半数が75歳以上である。 高度認知症の方は、OABの治療よりもOABにより派生してくる合併症などへの対応が重要と考えられております。

簡易フレイル・インデックス(簡易FI)(Yamada M and Arai H: J Am Med Dir Assoc 16(11): 1002.e7–1002.e11, 2015)

2024年6月より田町駅・三田駅近くのクリニックとして、グランパーク田町の地下1階ウェルシア内に、MRIおよびCT併設のクリニックを開業させていただくことになりました。ベッドも用意し点滴も可能な施設です。もちろん処方のみの方も大歓迎です。地域の方々が利用しやすいクリニックを目指し頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

トピックス

■過活動膀胱は薬だけではなく「行動療法」が大切です。また薬の選び方も大切です。当クリニックは、予約なしでも当日受診可能です。もちろん処方のみでも問題ありません。「薬を飲んでも治りづらい」「気になる症状がある」方がいらっしゃいましたら、お気軽にお電話や直接クリニックにお越しください。

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